東京都を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大する中、22日に始まった政府の観光支援策「Go To トラベル」事業が話題を集めています。英語で書くと「Go to travel」。シンプルで趣旨は伝わるけれど、英文としては違和感が……。ネット上でも「文法的に間違っている」との指摘が相次いでいます。政府はどうしてこの名称にしたのでしょうか。素朴な疑問を追っていくと、「和製英語」がどうして生まれ、どんな役割を果たしているのかが見えてきました。
「Go To トラベル」はコロナ禍を受けた経済対策として、国内旅行を対象に宿泊費や交通費の一部を支援する事業。当面は、感染者の拡大が続く東京都内を目的地とした旅行や都民は対象外となっています。
拡大する「Go To トラベル」が始まった22日、マスク姿の人たちでにぎわう伊勢神宮内宮前のおはらい町=三重県伊勢市、古沢孝樹撮影
名称について、関西学院大学の神崎高明・名誉教授(英語学)は「英文法的に完全に誤りとまでは言えないが、使われる頻度は極めて低く、英語話者には違和感がある」と分析します。「『to不定詞』の形としては一応成り立つものの、travel自体に『行く』という要素が含まれているため、意味が重なるgoと一緒に使われることはありません。使ったとしても、『旅行に行くために行く』のような不自然な意味になってしまいます」。goを使う場合は、「go on a trip」を自然な表現に挙げます。また、主語がなく先頭に動詞の原形がきているため、「トラベル(という場所)に行け」などと命令されているようにも聞こえてしまうといいます。
当の政府の説明は――。「Go To トラベル」の広報を担う内閣官房の担当者は「英文としてはまあ、あれですが……」と笑いつつ、「Goもtoもtravelも、大半の日本人が知っている英単語。伝わりやすさを重視した結果です」と説明。命名の理由については、「多くの国民に旅行しようという気持ちを共有していただき、機運を盛り上げたい。そういう思いが込められています」と話しました。
和製英語「それは運命」
日本語のプロはどうとらえてい…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル